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≪バリバリ伝説2のページ≫

第一章 その(1)|その(2)|その(3)
第二章 その(1)|その(2)


はじめに
作者より
このページでは、自分も昔はまっていた30代前後のバイク乗りのバイブル、 しげの秀一作「バリバリ伝説」への熱き思いを胸に、勝手ながら続編を創ってみました。題して「読むバリ伝!」
これから始まるバリ伝2は、勝手なストーリーです。私自身、新しいバリバリ伝説が読みたい、 今、もし本家のバリ伝が復活しそうものなら本当に嬉しい限りです。でも、やはり実現しないでしょうね。悲しいけど。
だから、書いちゃった。勝手なバリバリ伝説。
このページは、バリバリ伝説についてInternet上の先駆者、バリバリ伝説博物館の館長さん、 そしてレッドゾーンさんのページと連携を取っていますが、このストーリーはまったくオリジナルであり、簡単にいうと「GTOにおける、LIVE in 北海道」のような位置づけです。 ただ、自分自身、バリバリ伝説をもし、しげの秀一氏が続編を再執筆することをイメージし、 残念ながら世界GP編に入ってから、連載中は人気が下がったらしいので、 なるべく、人気の頂点の頃の峠での走りがまた登場するような設定を考えてみました。 (おそらく、またこのような漫画が登場すると、頭文字Dのように警察が黙っていないでしょうが‥。)
→この物語は当然ですがフィクションで、私はハクション大魔王です(笑)。実在の登場人物とバイク、世界GPの内容、またゼッケンなどは作者の勝手なことですからご了承下さい。またバリバリ伝説への賛美歌的なオリジナルストーリーですので、原作との照らしあわせは大歓迎です。

バリバリ伝説を知らない方
→おそらく、深田恭子が「イージーライダー」という歌を歌っても「映画イージーライダーって何?」なんてコメントをするくらいなわけで、まして、ここで「バリバリ伝説?なんだそれっ?」っていう方が多いでしょう。
事実、講談社からのKCマガジンコミックスはとっくに廃盤。若い世代には「頭文字Dのバイク版だよ。」なんてコメントした方が簡単でしょうか。この漫画は昭和58年、1983年から8年間、週刊少年マガジンに連載された青春バイクストーリーです。それこそ今、「頭文字D」で強烈な人気をほこるしげの秀一氏ですが、氏の本格的なデビュー作ということらしい。
ストーリーは、峠を走るバイク好きの高校生、巨摩郡が同じくバイク好きの友人たちに囲まれて、峠を走る街道レーサーから、本格的にレースの世界に入っていき、最終的に世界GPで日本人初チャンピオンになるまでの成長を描いた、バイクをキーワードにした、大河ドラマ的サクセスストーリーなのである。当時、中免ライダーのあこがれであったナナハンが活躍するストーリー展開、あのビデオにもなった永遠のライバル秀吉とチームを組んで戦った、感動の鈴鹿4耐逆転優勝、そして秀吉の死など、涙無くては語れない話が重なって、当時のライダーへのバイブルとまでいわれた漫画です。
恥ずかしながらも、私もバイクに乗り始めの頃、この漫画と出会って、感動雨あられの世界にひたってました。当時、バイクといえば「3ナイ運動」の真っ最中。学校では、免許を「取らせない、乗らない、買わない。」と徹底した差別の標的。しかし、その中でも暴走族と、純粋にバイクを愛する少年と、2種類のバイク乗りがあるとは、教育関係者にもわかっていても、わからないフリをしていたのではと思われる。自分も実は「オートバイ=不良」の図式を持っていたが、なぜか、バイクの魅力に取り付かれた世代です。


バリバリ伝説2〜新たなる挑戦
第一章 その(1)

【プロローグ】

初参戦ロードレース世界GPで、熱烈な観衆の熱い眼差しの中、強豪YZRラルフ・アンダーソンを相手に壮絶なバトルの末、初めてのコンチネンタル・サーカスでチャンピオンとなったあの「伝説」の年から3年。

GUN BOYこと巨摩郡は昨年、パワーアップしたヤマハと宿敵ラルフ本来の好調なライディングの陰で、新型のNSRの調子も今ひとつ。度重なるエンジントラブルによるリタイヤが重なりタイトル防衛ならず、しかし総合順位3位と2年目も結果的上位で終わり、もはや彼のことを一年限りの「クレージールーキーGUN BOY」とは扱わず、本当の意味での世界最高レベルのトップライダーの一人として注目されていた。
今年から、長年連れ添ったチーフメカニックの島崎が、
「若い世代の新しいレーサーの育成と、日本全体のレース環境のレベルアップのため。」と500CC世界GPから離れたのをきっかけに、長年がんばってきた「チームシマザキHRC」から、昨シーズン中から要請があったロスマンズ・ホンダへと、仲間の太田と共々一時的との契約で移籍、今年はゼッケン「3」ロスマンズカラーのNSRで戦っていた。郡のマシンは、もちろんロスマンズのベテランメカニックスタッフと、あのHRCの「梅井」の強力なサポートにより、つねに世界最高のワークスマシンが与えられ、今年のGPもここ「鈴鹿」を残して最終戦、2位、3位まで混戦ながらも郡はランキングトップで迎えていた。

世界最高のワークスマシンと、郡の天才的ライディングテクニックの前に、今年のGPはもはやロスマンズホンダ、 巨摩郡2度目の優勝!‥‥かと思われたが、最終戦レース後半、郡のNSRは周回遅れの転倒に巻き込まれ大破し痛恨のリタイヤ。 結果、年間ランキングは総合2位に終わるだけでなく、巻き込まれた転倒で、郡はまさかの意識不明の重体となってしまった。
このようにして、初参戦のシーズンから天と地ほど、グンのグランプリサーカス参戦3年目は不本意なシーズンとなり、また来期参戦が危ぶまれる状況となってしまった・・・。



【失われた時をさがして】

翌年。鈴鹿での事故から数ヶ月後、なんとか命はとりとめ、無事に意識が回復したが、転倒時にはヘルメットが割れる程の衝撃で 脳へのダメージがひどく、ほとんどの記憶が喪失してしまった。 もちろん世界GPのトップレーサだったことすら忘れ、見舞いにくるレース関係者やメディア からはヒソヒソと再起不能とまで言われていている。
最愛の歩惟との新婚生活もつかの間、未だに、歩惟や友人、レーススタッフのことを思いだすこともない・・・。 グン本人も記憶がないことにより、まわりの状況に疑心暗鬼のようだ。しかしおどろくなかれ、強靭な肉体のほうは回復し ようやく一時退院の日が訪れた。
友人の比呂とみいはひそかに郡の記憶を取り戻すため、ある秘密の作戦を考えていた。 その頃比呂は、みいとの結婚も決まり、みいの親父さんと、イチノセレーシングクラブの協力もあり、念願のバイクショップを開店していた。 はじめ比呂は、カワサキ専門店で開店したかったが、HRC梅井のおせっかい(笑)もあってHRCサービスショップ「ホンダプロス」店として、 郡の人気もあって繁盛していた。
「よぉ、郡。ちょっとこっち来ないか。」
退院した郡を店につれてきた比呂は、店の奥の整備部屋に郡を案内した。
そこにはカバーがかかった一台のバイクがあった。

「開けて見ろよ。」
郡は言われたままカバーを取った。
「!?」
そこには、郡が昔乗っていたのとまったくうり二つのCB750Fがあった。
「苦労したんだぜ。今時、こんなによく回るCBなんてめったにないんだ。郡の昔の写真見て、パーツまで探して組んだんだぜ。」
「これに乗っていたのか‥。」
「さぁ、郡へのみんなからの退院祝いだ。入院してから体がなまっていただろ、少し乗ってこいよ。」
そういうと比呂は、グンの活躍で巷ではやっている例ホワイトをベースにレッドストライプを塗装した スペシャルカラーリングヘルメットを差し出した。
「今じゃ、この店で一番売れているメットだ(笑)。」
不思議と、バイクに触ると郡は昔のままの表情をした。まるで、記憶がもどったかのように‥。
「明日の朝、昔走った峠にこのCBで来てくれ。」
郡は、わけもわからず比呂に言われたとおりうなずいていた。



「おかえりグン。」「あぁ。」
郡と歩惟は、とりあえず新婚の住まいを郡のマンションにしていた。
歩惟が待つ我が家を、なんとなく心が安らぐもの、本当に自分の部屋なのかわからないままの郡であった。
「今日はパスタよ。」「あぁ。」
郡は、比呂から譲り受けたCBの鍵を眺めながらソファーに寝そべった。
(なんだか、この鍵、なんども握った覚えがあるんだよな。
でも思いだせねぇ。)
歩惟は、明るくは振り舞っているものも、自分すらまったく覚えていない郡の顔をみて、何度も悲しくなり泣き出しそうになった。



次の日の朝、比呂に言われたとおり郡は峠にCBでやってきた。
まだ、3月。春の日差しは少しづつ訪れてはいるが、やはり峠の朝は寒い。
「一応、病み上がりの身体だからな、つなぎは着てこいよ。」
レーサでない、あの頃のような姿の郡が、こうしてつなぎを着てCBにまたがっていると、比呂は遙か遠い思い出の日々が蘇るような思いでいっぱいだった。
「軽く走るから、ついてこい!郡。」
不思議と、バイクに乗ることは忘れてはいなかった。たしかに頂点で争っていた頃に比べ走りに「切れ」はないもの、やはり当然のごとながら普通のライダーよりは速く走れる。仮にも世界GPチャンプまでなった男だ。小刻みにコーナーが迫る。身体が勝手に動く。ひらりと交わし、反対に加重。フルブレーキングからスパッと寝かし込み、ターン。やはり郡だ。華麗なフォームはさすが世界GPレーサ。そんな郡の姿を、上の駐車場から見守るみいの姿があった。
「そろそろ行って。」
みいの後ろから、一台のバイクが走り出した。
クォォォン!クォォォン!クォォーン!
「!?」
 郡たちの後ろにその大きな車体のバイクはピッタリついた。
そのバイクに気が付いた直後、次の大きなコーナーのインから、ものすごい勢いで郡たちを抜いていった。

「!?カタナだ!」比呂が叫んだ。

銀色のGSX750S、通称カタナ。
(どこかで見覚えがある‥。)
郡は、その後ろ姿にある一つのことを想い出した。
(とにかく、あのバイクはなんとかして抜かなければならない。なぜだろう‥。)
そのカタナ使いは、大きな車体をいとも軽く切り返す。
無駄のないライン。ギリギリまでのブレーキング。
郡「ちくしょう!速ぇーぜ。」
確かに記憶を失っているとはいえ、世界GPレーサ。まだギコチないが、とにかく走れる。
比呂「ひやぁー、やっぱり速ぇーや。」
比呂がギブアップのサインを出して、「あとは任せる。」の一言でペースダウンをした。
クォォォン!クォォォン!クォォーン!
カタナを追う郡のCB750F。しかし、いつになっても追いつけない。
かなり無理をして追う郡。エンジン音が大きくなる。CBのリアが大きくスライドする。 カタナはその姿をあざ笑うかのようにウィリーして次のS字をクリアする。壮絶なバトルは終わらない。そして‥、交通量が多くなって、朝が来る。
郡のCBがあきらめたように減速する。後ろから比呂のカワサキがパッシングする。
「郡、そろそろ危ないから戻るよ。」
郡と比呂は、その朝の峠を後にした。


伝説のカタナ登場!!
新たなる伝説が、今ここに始まる。

バリバリ伝説2〜新たなる挑戦
第一章(2)へつづく


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